HIV感染者によるHIV関連情報 - ART Space

2011年からART (Anti-Retroviral Therapy) を受けているHIV+男子が気まぐれにHIV関連情報を更新します。

薬の変更&その後の件

3月にアイセントレス+エプジコムからビクタルビに変更しました。

エプジコムでは服用後に吐き気やムカつきを起こすことが多く、しかもこれが数時間続くので生活や仕事に支障がありました。しかしビクタルビはこういう副作用が出ないのでQOLが上がりました。また、3ヶ月後くらいから疲労感やだるさも軽減してきて明らかに体調が良くなるのがわかりました。あまりに調子がよいので服薬を忘れることもあったりしたのでついにスマホの服薬管理アプリを入れてしまいました。いままでそういうものには頼らない!という変なプライドがあったんですけど、そうも言ってられないので。

ビクタルビにしてから食欲が出るようになって油断すると太りそうです。これがビクタルビの副作用ではないか?と言われているようですね。ただ主治医はエプジコムの副作用が相当強かったはずで、それがなくなって普通の中年になっただけという見解です。普通の中年ですって!?失礼しちゃうわ!!

薬の変更予定の件

ずっとアイセントレスとエプジコムでしたが、ビクタルビに変更することになりました。

自分のART経験は以下のとおりです。

1.プリジスタナイーブ+ノービア、ツルバダ
2.レイアタッツ+ノービア、ツルバダ
3.アイセントレス+レイアタッツ(つなぎ)
4a.アイセントレス(1日2回)+エプジコム
4b.アイセントレス(1日1回)+エプジコム

レイアタッツとツルバダの副作用が問題でアイセントレスをベースとしたARTに切り替えました。ちょうどデビケイが出るかどうかという時期で、主治医もかなり悩んだようです。そのまま8年くらい継続して今に至りますが、エプジコムの副作用(吐き気)も地味につらいということで、転院を期に薬を変えることにした次第です。

転居に伴う諸々手続きの件

お久しぶりです。

いきなりですが、自分はこの病気になってから2回目の転居をしました。転居のたびに問題になるのが拠点病院の選択です。

拠点病院の指定を受けていても専門医がいない施設が相変わらず存在するのが実情です。自分の場合ですと、特に10年前に転居したときはまだARTを始めたばかりでCD4が少なく、貧血もあって全身状態があまり良くなかったので病院選びは神経質になりました。

ただ、いまはAIDSを発症していたり、CD4が極端に少ない患者以外はビクタルビを処方して様子見という、ゴールデンスタンダード的な治療法が確立していますし、今回の転居は長期間に渡ってU=Uを維持していましたので通院先が変わるだけでそれ以外は特に変化はなく、あまり気をつかうことはありませんでした。

あと障害者認定を受けている人が多いと思いますが、障害者向けのサービスは自治体や事業者によってかなり違いますので、しっかり調査したほうが良いです。東京23区内に住んでいたときは都営交通の無料乗車券を貰えました。都営以外のバスでも手帳を見せると半額になる会社があります。

HIV感染者にも新型コロナワクチン接種が推奨される件

お久しぶりです。

新型コロナワクチンの接種が進んでいて、ついに自分のもとにも接種券が届きました。しかし、我々HIV感染者は接種してよいのか?大丈夫なのか?ということが気になったので調べてみました。

ACCにアップされている『HIV感染者における新型コロナウイルスワクチンに関するQ&A』によると、HIV感染者も新型コロナワクチン接種をして問題ないということです。ただし、血友病の人は出血傾向があるので要注意ということですので、主治医にご相談ください。詳しくは下記のリンク先ページを参照ください。

www.acc.ncgm.go.jp

 

※補足

出血傾向がある人といえば、いわゆる血液がサラサラになる薬(抗凝血剤)を飲んでいる人も同様ですが、そのような人に対しては、ワクチン接種直後に接種部位を数分間しっかり押さえておくという対応が取られているそうです。

新規NRTI(核酸系逆転写酵素阻害薬)イスラトラビルの開発が順調らしい件

ツルバダの成分のTDF(テノフォビル)とか、デシコビに入っているTAFとか、エプジコムに入っているABC(アバカビル)の後継と期待されているのが、ヤマサ醤油が開発したイスラトラビル(EFdA)です。

TDFやABCは副作用があって、服薬が困難な人も少なくないわけですが、代替となるNRTIはいまのところ存在しません。そのため、他のグループの薬を組み合わせしてなんとか治療を継続していたり、副作用をガマンしている人も多いと思います。自分もABCの副作用でつらいのですが、がんばってエプジコムの服用を続けています。そういう人たちの代替になりうるのが、このEFdAだと思っていて、数年前から着目していました。このたび臨床試験が進んで、来年にも発売されるのではないか、というところまでこぎつけてきました。

 

※特徴

  • 効果が強く、長時間持続する
    すでに埋め込み式徐放型製剤でPRePの試験が行われていて、よい結果が出ています。経口服用だと50mgで1週間以上有効な細胞内濃度を維持するという試験結果もあるようです。1日1回服用だと1錠あたり5mgくらいになるかもしれないですね。
  • 耐性ウイルスができない(?)
    これは自分の知識ではよくわからないのですが、「既存のNRTIとは構造が違うので、既存の薬のようなタイプの耐性化は起きない」ということではないかと理解しています。(いくらなんでもまったく耐性ウイルスが発生しないとは思えません)
  • そんなわけで、既存NRTIの耐性ウイルスに対しても問題なく効く。
  • B型肝炎ウイルスに対しては効果がない。
    多くのNRTIはB型肝炎ウイルスに対しても効果があって治療薬になっていますが、EFdAは効果がありません。明確に違うんですね。
  • ミトコンドリア障害による副作用が低い。
    これは動物実験では認められているようですが、ヒトに対してはどうかは調べていないのでわかりません。

日本メーカー発のHIV薬ですし、従来のNRTIの問題点が解決されているので、無事に発売されることを願います。